11月24日(金) 曇り

 朝食は、ハム、チーズ、パン、飲み物のバイキング形式。オレンジジュースとクロワッサンだけは各テーブル備え付けだったけど、あたしたちのテーブルにはクロワッサンの籠がなかったから、誰もいない隣から一個失敬する。チーズがとてもおいしかった。

 駅に向かう。着いてまず、ピサ行きの列車の切符を買う。自動券売機に挑戦。うまくいくか心配したけど、簡単だった。その後、連れの忘れ物を受け取りに、クライアント・アシスタンスの窓口へ行った。荷物は無事に届いていて、荷物は連れの手に戻った。奇跡的だ〜。こんな外国で列車に置き忘れなんかして、言葉がペラペラでもないのに、無事に取り戻せたなんて、奇跡的すぎる。ほんと、良かった。荷物が戻った本人がいちばん嬉しいだろうけど、あたしだって、連れがテンション落ちたりしてると楽しめないし。ほんとにほんとに、良かった。

普通列車の中  早く着いたからか、列車にはまだ殆ど人が乗っていなかった。誰もいない車両を選んで乗り込む。最初はそんな調子だったけど、発車して何駅か過ぎると、次第に混んできた。途中の駅から乗ってきて、あたしたちの向かいの席に座った人が、あたしたちが「次、ピサだね」とか話しているのを聞いて、「そうだよ」って教えてくれた。その人は、あたしたちに日本人かって訊いてきて、そうだって答えると、「日本にいたことがあるから、会話が少し分かった」って言った。その人はなんと、サッカーで日本にいたんだって。セネガルのチームの人なんだって。うわー、すごいなー。

 ピサに着いて、斜塔行きのバスを探すのに少し迷った。バス名前が「歩き方」とは変わっていたから。中央の路線案内を見ると、「rosso」っていう循環バスだ。赤色マークのバスね。乗り場は確かに「歩き方」の通り。ただ、バスの路線の名前が変わっていただけみたい。

 斜塔前の停留所に着いても、予想に反して塔はすぐには見えない。城壁みたいなのがあって、奥の洗礼堂の丸い屋根が見えているだけだ。その城壁の門をくぐると、見えた見えた。すごいなー、ホントに傾いてるよ。それも結構な傾きだ。だけど、ウワサに聞いた、斜塔を支えるポーズで写真を撮る、なんて人は一人も見ない。と思っていたら、日本人のおばちゃんが、ホントにやっていた^^; その人以外には、そんな人、見かけなかったけど……^^;

 手前から洗礼堂、ドゥオーモ、斜塔と並んでいて、道にはお土産の露店がずらーっと続いている。斜塔にちなんで、いろんなお土産が傾いている。グラスとかマグカップとか、香水の瓶らしきものとか。面白い。

斜塔の上り口  斜塔の向こうにあるチケット売り場で、日本で予約していたチケットを受け取る。チケットと一緒にくれた冊子に、なんかビビらすようなコトが書いてあって、微かに不安を煽ってくれる。300段くらい階段があるから、かなりの体力が要ることを覚悟しろ、とか。心臓疾患や健康に自信のない人にはお勧めしない、とか。いちばん上にまで上るのは容易ではない、めまいを起こしやすい人にはお勧めしない、とか。そんなの、チケットもらってから言われたって遅いし。

 塔に上る時間までまだ時間が結構あるので、お土産の下見をした。時間が近くなると荷物を預けて、集合場所である斜塔の下に行った。ボロボロの木の扉の壊れたところから入場だ。

 階段は一段一段が低くて、あんまり急じゃない。おかげで、しんどくない。昨日のドゥオーモのクーポラのほうがよっぽどしんどかったし、階段も多かった。ビビらされていたけど、難なく7層めまで着いた。ここには鐘があって、更に上に行くにはその外回りを回って別の階段に行かないといけない。階段なんかより、ここがいちばんの試練だった。怖すぎる。柵に向かって3段か4段の階段状に低くなっていて、低い方へ降りないと体が柵より高い位置にあるみたいで怖くて、かといって、低くなるために柵に近づく、つまり塔の縁に近づくのも怖くて。外を見ないようにして、中央部分の壁に張り付いて、何とか次の階段に辿り着いた

 屋上に出ると、絶景だった。塔が傾いているからここの床も傾いている。上になっている方はあんまり怖くなくて、下になっている方はちょっと怖い。だけど、さっきのトコより、全然怖くない。もちろん、真下を見なければ、の話だけどね。しばらく、のんびりと景色を眺めて過ごす。

斜塔の中  また一個下の層で恐ろしい思いをしながら、塔を降りる。降りながら気付いた。バランスを取ろうとする意識をちょっと抜くと、ふらふら〜って塔が傾いている方へ体が寄っていく。なんだか、面白い。何回かそうやって遊びながら、塔を下りきった。今回の旅の予定していた主な観光は、これで全て終わった。

 荷物を受け取って、お土産の露店を巡る。あたしはスヌーピーが斜塔を支えている絵柄の黒いTシャツと、斜塔の小さい置物を買った。

 ピサ駅へ戻るバスの中で、すごく行儀の悪いガキがいた。まだ哺乳瓶を持っている。その哺乳瓶を投げたり、あたしの足をわざと何度も蹴りまくったり。最初、そのガキの傍にいた女の人が親だと思ってたら、その女の人はガキを置いて降りていってしまった。一体誰が親なんだろうと不思議に思ってたら、ちょっと離れたトコに立っていた男の人らしい。おい〜、こんなガキ、野放しにしないでよ〜。

 フィレンツェに戻る列車の切符も、券売機の型はちがったけど無事に買えた。駅のホームで、朝食の席から持ち出してきてきていたラスクをハトにあげながら、列車を待つ。心配だった空席はあった。

 フィレンツェに着いて、駅からすぐ近くにあるサンタ・マリア・ノヴェッラ教会に入ってみた。あたしたちが入った教会の中では初めての有料(フィレンツェのドゥオーモのクーポラは別。だけどあそこは、普通に建物に入るぶんには無料だった)。その上、内部は一切の撮影禁止。あのサン・ピエトロ大聖堂ですら無料だし撮影も自由だったのに、なんかエラそーだな。内部は、十字架に磔になっているキリストがイキナリ宙吊りに飾られているのが印象的だった。有料だけあって、見学する人のための用意がちゃんとされている。有名な絵とか彫像とかあると、解説図とか解説文とかがきっちり記されている。イタリア語や英語じゃ、ぜんぜん読めないけどね^^;

 イタリア最後の景色を見るために、ミケランジェロ広場へ向かう予定だった。だけど12番のバス停を探すのに手間取った挙句、バス停にあった看板の停留所案内と実際の停留所の数とかなぜか合わなくて間違って下車。もう暗くなってしまって、行くのを諦めた。降りた所には屋内遊園地みたいなものがあって、入り口前の庭がきれいなクリスマス・ライトアップされていて、人工雪まで降っていた。

 駅に戻るバス停を探しつつ、駅のある方向へ歩く。そしたら、なんか見かけたことがある景色。今のバスでは通らなかったけど、ホテルからのバスで見たホテルだ。連れも別の見覚えがある道を見つけて、なんか駅の近くまで来てるらしいことが判明。今バスに乗っていた距離は、もっと長いと思ったけど……。それに、ホテルとは反対の方角に行っていないとおかしいんだけどなぁ……。だけど、あたしたちの景色の記憶は確かで、大して歩いていないのに、あっさりと駅に戻れてしまった。ナゾ……。

99ショップ  駅の近くで昨日の夜見つけていたイタリア版
99ショップを見物する。99セント均一。クリスマス用品が、どれもすごく可愛かった。あとは日用品が多かったかな。そこを見終わって、駅の横のスーパーも見物。昨日のスーパーの方が、品揃えがいいみたい。

 昨日行った、新市場のロッジアへもう一度行ってもらう。昨日見物していて、やっぱり買いたいなーと思ったものがあったから。キレイなガラスのネックレス。ママとあたしに一本ずつ買った。満足満足。

 イタリア最後の夕食に、奮発してちょっといいトコで食べることにした。シニョーリア広場に面している、オープンカフェ。日本語のメニューもある。ほうれん草とチーズのラビオリが9ユーロ、ミネラルウォーターが4ユーロ、食後のカフェラテが6.5ユーロ、という恐ろしい値段……^^; 日本円で3000円くらいだよ^^; だけど、席の雰囲気もとてもおしゃれで、食事しながら見えるヴェッキオ宮や広場の景色も良くて、これはもう、このセッティングのためにかけたお金だね、って思った。そう思えるくらい、気持ちのいいディナータイムだった。ちょっとだけ寒かったけどね。

 食後、昨日のスーパーで最後のお土産を買う。ローマのコナードで見ていたピンクと白のしましまのリボン型パスタが欲しかったけど、なかった。それを探しに、ここからそんなに遠くないはずのコナードにも行ってみることにする。だけど、道を間違ってしまって、やっと見つけたときには閉店時間になってしまっていた。残念……。

 ここから駅まで戻るのに、また道を間違ってしまった。そのうち小雨が降り出した。

 ホテルに着いて、フロントで明日のチェックアウトについて訊く。朝の4時半とかにちゃんとチェックアウトできるのか知りたかったから。そしたら問題ないって言われたけど、どこに行くのかと訊かれて、空港だって答えると、そんな早くに空港は開いてないって言われた。空港は朝の5時半からしか開かないらしい。ホテルから空港までかかる時間を訊くと、1キロくらいだから5分で着く、という返事。それはタクシーだろうと思って、歩いたら何分くらいか訊く。すると、空港へは高速道路しかないから歩いては行けないって。ええ〜〜っ、何のために、わざわざキャンセル料まで払って、空港近くのホテルに変えたんだ〜? 歩いて行ける距離みたいだから、高いタクシー代を払わなくていいと思ったからなのにぃ……。

 さて、これでイタリアとはお別れ。まだ明日、長い飛行機があるけど。やっぱり、あっという間だったなー。だけど、結構満足。ちょっと冒険だなーと思っていたコトも全部うまくいったし。イタリア語は全くで英語もカタコトって状態の二人で、よくこれだけのコト、こなしたと思うよ。

 楽しかったな。ユーロが強くて、物価が、特に食事の値段が高かったのは痛かったけどね。でも、来て良かったな。

 さあ、帰国まで、あとひと頑張りだよ〜。