11月20日(月) 曇り

ナポリ行きの列車の案内  待望のポンペイ行きの日。6時半起き。7時に朝食後、身支度をして、8時出発。列車は、昨日、駅の時刻表で確かめたときは7番ホームだったけど、ホームの手前の中央の全体案内板を確かめると5番ホームに変更になっていた。でも、スムーズに乗車完了。ナポリ行きの、「inter city plus」だ。

  発車してすぐに、検札が来た。日本からイタリア国鉄のホームページでネット予約してあった確認メールを見せると、レシートみたいなのをもらえて、あっさり終了。ホントにこれでいけてるのか少しだけ心配してドキドキしたけど、よかったぁ。

 車窓は、最初は街のいたる所に遺跡みたいなのが見えて、すごいなーと思った。暫くして郊外になると、思いっきり広い田園風景。羊の群れが見えたり、ブドウ畑がいっぱい見えたり。

 車内では、携帯の着メロが平気で鳴りまくっている。車内とかではマナーモードに、とかいう常識は、イタリアにはないみたい。人がいっぱいいるトコで平気で歩きタバコしている人も、多いしなぁ。

 ナポリに近づくと、近代的な高いビルがいっぱい見えだした。だいぶローマと雰囲気が違う。そして、ナポリ着。なんと、雨が降っている〜。貴重品入れ腹巻からお金をお財布に移すためにトイレに行くと、なんと、便座がない。鍵もない。んーーーーーーー、と思いながらお金を移し変えて外に出ると、雨がじゃじゃ降りになっていた。うそぉ〜、こんな中でポンペイを観光しなくちゃなんないのぉ〜;;

 とりあえず、昼食調達。ちょっと歩き回ってみて、結局駅構内のバールで、ツナとトマトのパニーノを買った。ポンペイで適当なトコに座って、ピクニックみたいにお弁当タイムにする予定なんだけど、雨が降ったままだったら……。

 ポンペイへ行くための、ヴェスヴィオ周遊鉄道の乗り場を探す。案内板を見つけてそのとおりに行くと、簡単に切符売り場に着いた。だけど、事前にネットで調べていた情報や「歩き方」に載っていた情報とは、全然違っていた。通路が工事中みたいな仮設っぽかったから、たぶん最近変わってしまったんだろう。窓口でポンペイに行きたいと言うと、周遊券を勧められた。ナポリ⇔ポンペイの往復乗車券と、ポンペイの入場券引き換え書(バウチャーって書いてあるけど、交換所の写真が白黒コピーされているだけの紙に、手書きで日付とか人数とかが適当なトコに書かれてあるだけ)がセットになっている。それと一緒に、列車の路線図と時刻表もくれた。

 乗った列車は、なんかボロっぽくって、キタナかった。車内のあっちこっち、窓にまで落書きがいっぱいだし。椅子もプラスチックでちゃちだし。雨のせいもあってなんとなーく薄暗い印象で、あたしたちは座れたけど乗客もいっぱいで、落ち着かない。

ポンペイ駅  もらった路線図と睨めっこして、駅に着くたびに現在地を確認し続ける。基本的に各駅停車みたいだったけど、途中で一つ二つ駅が飛んでた気がする。けど、無事にポンペイで下車できた。素朴な小さい駅。ホームのすぐ横にポンペイ入場券の引き換え書にコピーされている窓口があって、そこで入場券をもらえた。

 ポンペイでは、雨が降っていた様子は全然なかった。地面が濡れてない。よかった〜。駅から出て、大して広くない道を右に向かう。事前にいろんな人のサイトで情報を見たやつとかは、何もないみたいなこと書いてあったけど、ちょっとポンペイ観光がメジャーになってきたのか、食べ物とかジュースとかお土産とか売っているお店が右に並んでいる。わざわざナポリから買ってきたパニーノを始め、切り売りのピザとかもある。お店の看板に、日本語で「レモンジュース・オレンジジュース」とかって書いてあったりするトコもあるし。ちょっとびみょーな形のカタカナだったけど。

 すぐに入り口に到着。インフォメで地図をもらいたかったのに、係員のおっちゃんに「入り口はこっち!」みたいな感じのことを怒ったように強く言われて、もらいに行きそびれた。

 いよいよ入る。ちょっとドキドキする。大昔に、火山の噴火で一瞬で滅んだ街。そのことを高校のときに世界史で知ったときから、興味があった。ぼろぼろになった街の中を歩いて、これがそうなんだなぁって、しみじみ思う。そして、どこを見回しても感動しまくる。のっけから、写真を撮りまくってしまう。

ポンペイ遺跡でゴロゴロする犬  入り口からすぐのバジリカで、もう帰りらしい日本人の団体に出会う。その中のおっちゃんに、連れがシャッターを押すのを頼まれて、代わりにあたしたちも初めて二人並んで撮ってもらった。その後フォロの片隅に座ってお昼ごはんのパニーノを食べる。フォロを眺めたり、足元に来たハトにパンくずをあげたりしながら、のんびり食べる。何匹かワンちゃんがごろごろ寝ているけど、爆睡している様子で、まったく起きない。

 食後、見学を再開する。フォロのトコから見えるはずのヴェスヴィオ火山は、雲が多くて殆ど見えない。ちょっと残念。だけど、お天気は結構良くなっている。最初のんびりとしげしげと見学してたら思ったよりもかなり広いことが分かって、まだ見ないといけないトコがいっぱいだーって、急いで歩く。ずっと奥の秘儀荘や、その反対の奥の闘技場とか、かなり広い範囲を歩き回った。壁画もいっぱい見たし、出土物を並べてあったトコとか、火山灰に埋もれていた死体の空洞で型取りした死体復元石膏もいくつか見た。だいたい4時間半くらいかな。でも、見落としたトコがまだありそう。

 こんだけのものが、街ごと丸ごとすっぽり火山灰で埋もれていたなんて、驚き。それも一瞬で。栄華を誇っていた街が、一瞬で呆気なく、タイムカプセルに閉じ込められていた。滅んでしまった呆気なさがなんだか寂しくて、でもそれがこうして時を越えて目の前に現れている不思議さに、なんか感動した。

 遺跡から出ると、もうインフォメは閉まっていて、地図をもらえなかった。隣のブックショップで、復元図を重ねられる写真集を買って、ナポリに戻った。

 予定より一本早い列車で戻れたから、ナポリで時間が余った。昼食用のパニーノを買ったバールで切り売りのピザを食べる。イタリアに来て始めてのピザだ。チーズたっぷりのチーズピザを選んだ。一切れでも巨大。そして、すっごい、おいしい〜。

ガリバルディ広場  食べ終わってもまだまだ時間があるから、駅前のガリバルディ広場も歩いてみる。怪しげな露店の数々と、渡るのにすっごく危ない道路。並んでいるお店は、あんまりお土産とかはなくて、電気屋さんみたいなのが多かった。そういうお店もちまちま覗いてみたけど、なんか辺りが怪しい感じで遠出する気にもなれなくて、完全に時間は潰せずに、また駅に戻る。そして、ホームの椅子に座って休んだり、あっちこっちのホームの列車を見物に行ったりして過ごした。

 やっと列車の到着ホームが確定して、列車も来た。指定席の車両に乗り込むと、なんか行きのときの列車より椅子とかが豪華。それに、あたしたちのもののはずの席におっちゃんが座ってて、あたしたちが何か間違ってるのかと不安になる。でも、やっぱりここ。悩んだ挙句、座ってるおっちゃんに言うと、おっちゃんは本当は向かいの席だった。なんだ、勝手にあたしたちの席のほうに座ってたのか。もう。

 ポンペイ行きが無事成功して、ほっとしてる。それに、行ってホントに良かった。ここがどのくらいスゴイかは、いちいちこんなトコに書ききれないけど。今度はエルコラーノも行きたいな。